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行動経済学(書評) 要約&書評

【書評】人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学~大ヒット・大ブームの法則性とは!?~

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もし、大ヒット商品や世間を賑わすブームの法則性を知ることが出来たら!?

次はあなたが「大ヒット・大ブーム」を作ることが出来るかもしれません!

今回は、「大ヒット商品や世間を賑わすブームの法則性」を教えてくれる書籍を紹介します!

それが、「人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学」です!

今回は、「人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学」の紹介と、私の感想について紹介していきます!

 

大ヒット商品には悪が潜んでいる!?

 

ここで言う悪とは、企業側が犯罪を犯しているといった、悪さではありません。

大ヒット商品に潜む悪とは、我々人間の煩悩のことを指しています。

皆さんは、マクドナルドで販売されていた「サラダマック」をご存じでしょうか?

お客様を対象にした調査の結果、「ヘルシーなサラダが食べない」「マックはヘルシーじゃないから行かない」という意見があったことで、「サラダマック」が誕生したそうです。

お客様からの声を反映させて商品化させたはずなのに、思うように売れず、販売終了となりました。

ヘルシーなサラダが食べたいといったのは、お客様だったはずなのに、なぜお客様が買ってくれなかったのでしょうか?

理由は、我々人間に潜む悪(煩悩)にありました。

マクドナルドに行く目的とは、「体には悪いけど、脂っこくてジューシーなハンバーガーを食べたい!」というのが本音ではないでしょうか?

体に悪いと分かっていても、ジャンクフードを食べるという背徳感こそが、お客様がマクドナルドに求めていることだったのです。

調査で「ヘルシーなサラダが食べたい」と言っていたのは、本音ではなく、建て前だったということが分かります。

「サラダマック」がさっぱり売れなかったあと、マクドナルドは「クォーターパウンダー」「グランドビッグマック」「ギガビッグマック」といったヒット商品を生み出していきます。

なぜ、我々は不健康な食べ物を食べるという合理的ではない行動を取ってしまうのか?

その理由について次のように書かれています。

 

人間は合理的ではないからです。正確に言えば、状況に応じて合理性の定義がかわるため、本人は合理的だと思っても、周囲から見ればとても合理的に見えないのです。

「人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学」より

 

合理的に考えれば選ばない選択肢を自ら選んでしまうのは、意思決定に歪み(バイアス)が生じているからです。

「人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学」より

 

私の場合は、マクドナルドよりもラーメンを良く食べるのですが、毎回「ラーメンは体に良くないから控えよう」と思っていても、ついつい食べてしまいます(笑)

特に一風堂が好きなのですが、一風堂の前を通るたびに、パブロフの犬かのようによだれを出していますw

しかも、毎回「今回は○○を頑張ったから」など、ラーメンを食べる道理を自分の中で勝手に作って、背徳感を感じながらもラーメンを食べてしまうんですよね(笑)

本書にも書いてあるのですが、「人間を熱狂に駆り立てるためには、「善」よりも「悪」や「煩悩」のより重要な要素」だと、身をもって実感しております。

大ヒット・大ブームを生むためには「莫大なデータを使う」だけでは足りず、人間の意思決定の歪み、悪の部分を活用することで、「大ヒット・大ブーム」を生み出すことが出来ると本書では書かれています。

仏教では、我々の煩悩の代表核として、「貪(欲望)」「瞋(怒り)」「痴(愚かさ」「慢(怠情)」「疑(不信)」「悪見(偏見」」の6つが挙げられています。

本書では、この6つの煩悩を章ごとに分けて、現代の大ヒット・大ブームの法則性について書かれています。

これから、実際に紹介されていることの中で、特に私が共感したものを2つピックアップしてご紹介していきます!

 

我々が食べ放題で食べ過ぎてしまう理由「貪(欲望)」

 

好きな食べ物を好きなだけ食べることが出来ます。

食べ放題は、まさに我々の「貪(欲望)」を満たしてくれる存在ですよね!

これほど、人間の食欲を満たしてくれるものが他にあるでしょうか?

好きな食べ物が好きなだけ食べることが出来るのが、食べ放題が人気な一番の理由だと思います。

私は定期的に、「しゃぶ葉」というしゃぶしゃぶが食べ放題のお店に行きますが、毎回、お腹パンパンになるまで食べ過ぎてしまいます。

パンパンに膨らんだお腹を引きずりながら、帰り道に食べ過ぎたことを後悔しています(笑)

私のように、食べ放題に行くと食べ過ぎてしまうという方は、いらっしゃると思います。

もちろん、食べることが好きだという方もいらっしゃると思いますが、食べ放題に行くと、元を取ろうとする人も多いのではないでしょうか?

なぜ、食べ過ぎると後で後悔すると分かっていても、元を取ろうとするのか?

本書では、この原因について次のように書かれています!

 

おそらくは「いっぱい食べれば元が取れるかもしれない」という仮説が、「元が取れるにもかかわらず、食べなかったら損をする」という感情を引き起こしているのでしょう。

 

人間は、損することをとても嫌う生き物です。

食べ放題は値段が決まっているので、たくさん食べれば元が取れます。

元が取れる可能性があるがゆえに、元が取れなかったら損だという心理が働いてしまうのです。

行動経済学では、これを「損失回避性」「サンクコストの誤謬」と言います。

「損失回避性」と「サンクコストの誤謬」については、こちらの記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください!

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それぞれ、ざっくり解説すると、次のようになります。

 

損失回避性:人間には損失をひどく嫌う傾向があること。何かを得る喜びよりも、何かを失う悲しみの方が2倍大きく感じる。

サンクコストの誤謬:サンクコストとは「すでに支払ってしまって取り返すことが出来ないコスト」のことです。サンクコストの誤謬とは、先に支払ってしまったコストが無駄になってしまうことを避けるため、結果的に損をすることが分かっていても、行動が途中で辞められないという心理。

 

 

クズが愛され理由「慢(怠情)」

 

皆さんは、カイジという漫画をご存じでしょうか?

この漫画の主人公である、伊藤開司は、バイト先の後輩の連帯保証人になったことが原因で、多額の借金を背負うことになります。

金融業を営むやくざである遠藤の斡旋により、カイジは多額の借金を返すために「エスポワール号」に乗り、ギャンブルをすることになります。

カイジは、かなりの人気を誇り、アニメ化・映画化されました。

そんな、絶大な人気を誇るカイジですが、主人公の伊藤開司は、「自堕落でダメなクズ人間」として描かれています(笑)

フリーター、パチンコ通い、酔いつぶれて寝るなど、とにかくダメな人間ですw

普通、漫画やアニメの主人公というと、ワンピースのルフィーや、最近では鬼滅の刃の炭次郎など、一本の芯のようなものが通っていて、目的達成のためには努力を怠らない、とてもカッコいいキャラクターが多いですが、カイジは真逆です(笑)

しかし、そんなカイジのクズっぷりに読者・視聴者は熱狂するのです!

我々は決して完璧な人間ではありません。

各々が自分が感じる欠点を抱えて生きています。

カイジまではいかなくても、これまでの人生を振り返ってみると、それぞれのダメな一面やクズな行動を取ってしまったことがあるのではないでしょうか?

私の場合は、高校生に時に、よく学校をサボっていたり、バイト中に抜け出してトイレでスマホゲームをやっていたりとサボり癖がひどかったです(笑)

優秀な人や出来る人は注目されるため、目にすることは多いと思いますが、そのような人ばかりを見ていると、自分に劣等感を感じてしまうため、疲れてしまいます。

逆にカイジのような人柄は、優秀な人よりも親近感を感じやすいキャラクターです。

カイジのようなダメ人間は、そういるものでもないので、多くの人が「カイジは自分と同程度かそれよりもダメな人間だ」と感じることが出来ます。

そういったダメな人間ほど、周りから愛されます。

芸能人の中にも「ダメな人」として人気を集めている人達がいます。

やはり、優秀で完璧な人よりも、隙がある人の方が愛されやすいのです。

カイジの人気の理由については、本書ではまだまだ書かれています。

続きは、ぜひ「人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学」を読んでください!笑

 

「人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学」を読んだ感想

 

作者の松本健太郎さんが、本書を通じて一番伝えたかったことは、おわりに次のように書かれています。

「悪」=「ダメなこと」「許されないこと」だという「イメージ」で捉えられがちですが、人間の心には「悪が必ず潜んでいて、それを認めない限りは人間を理解しているとは言えないんだ、ということこそ本書でもっとも伝えたかったテーマです。」

本書では、「悪」とは我々人間の煩悩のことを表していますが、これは我々の無意識のうちに働いているものも多くあります。

特に行動経済学で扱われる我々の思考や選択の癖は無意識のうちに起こっているものです。

無意識のうちに起こっていることなので、普段の生活で自らそれに気づくということは、なかなか出来ません。

だからこそ、我々に潜んでいる「悪」の部分を認めないことには、人間を理解していると言えないのだと思います。

また、現代はものにあふれていて、消費者にはたくさんの選択肢が与えられています。

その中で、消費者から選ばれる商品やサービスというのは、消費者の煩悩をがっちりつかんでいてるものだと思います。

だからこそ、人間の悪の部分について学ぶことは、これからの時代に必須と言っても過言ではないと思います。

本書のタイトルには、行動経済学と書かれていますが、決して行動経済学の知見だけから書かれているわけではありません。

筆者の松本健太郎さんの専門分野であるデータサイエンス、またマーケティング理論の観点からも書かれているため、とても深く学ぶことが出来ます。

本書は、マーケターや営業担当、商品開発者などにオススメされていますが、それ以外の方も面白いと感じることが出来ると思います。

我々は、良くも悪くも人と関わらなくては生きていけません。

そのため、人間についてよく知るということは、今後必ず役に立つ知識となると思います。

興味がございましたら、ぜひ読んでみて下さい!

ではでは。

 

 

 

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