今回は、内田和成さん著の『アウトプット思考』を紹介していきます。
本書の著者である、内田さんはボストンコンサルティンググループという、世界トップレベルの経営コンサルティング会社で20年働かれていました。
さらに、ベストセラーとなった『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』を書かれています。
『アウトプット思考』では、そんな著者によって、プロの知的生産術について書かれています。
そのため、本書を読み実践することによって、周りよりも最短最速でユニークなアイデアを生み出すことが出来るようになります。
そこでこの記事では、本書の中からなぜアウトプット思考が今必要なのかと、アウトプット思考を実践するうえでまず考えるべきことについて紹介していきます!
アウトプット思考の要約
なぜアウトプット思考が必要なのか?
アウトプット思考とは、従来のインプットからアウトプットを出すものではなく、アウトプットから考えてインプットを行うものです。
かつては、情報を持っていることに価値があり、情報通であることがもてはやされました。
しかし、現在ではインターネットの登場、スマホの普及により、誰でも無料で大量の情報にアクセスすることが出来るようになっています。
そのような現代においては、皆が情報にアクセスすることができるため、インプットで差をつけることは難しくなっています。
また、皆が同じような情報源を使って、情報を集めるため、アウトプットが似たようなものばかりになってしまいます。
そのため、インプット→アウトプットのプロセスでは、周りと差をつけることができません。
しかし、多くの人にはインプット→アウトプットという流れが染みついてしまっています。
例えば、あなたの会社で新商品の開発をてがける場合、市場のリサーチから入ろうということが多いと思います。
市場のリサーチをした結果、ニーズをABCに分けて、一番需要の高いニーズに合わせて商品を作ろうという流れになります。
しかし、それでは他のライバル企業と差をつけることができません。
当然、他の企業も市場のリサーチはしており、一番需要の高いニーズに合わせて商品を作ろうとします。
また、あなたが市場のリサーチに費やしている間に、他の企業が商品化してしまうかもしれません。
このように、インプット→アウトプットのプロセスでは、多くの時間がかかってしまいますし、出せるアウトプットも他と差がないものになってしまいます。
だからこそ本書では、従来のインプット→アウトプットという流れを、アウトプット→インプットに変えるべきであると書かれています。
アウトプットを前提にインプットを行うため、情報収集にかける時間を必要最低限にすることができます。
先ほどの新商品の開発でも、市場リサーチをする際に、まんべんなく行うのではなく、特定の層に絞ったり、違った切り口からリサーチを行うことが出来るようになります。
その結果、アウトプットに多くの時間を当てることができ、より多くのアウトプットを生み出すことが出来るようになります。
では、そもそもアウトプットとは何か?
本書では、アウトプットとは仕事の目的であり、あなたの本当の仕事は何かということであると書かれています。
例えば、あなたが人事担当者であれば、優秀な人を採用することや、離職率を下げることが目的になると思います。
このように、仕事には何かしらの目的があり、それがアウトプットになります。
そして、その目的を達成するための手段がインプットになるのです。
そのため、まずはあなたの仕事の目的は何なのかを具体的に考えていきましょう。
ここまで、現代はインプットでは差がつきづらいこと、そのため周りと差をつけるためには、インプット→アウトプットではなく、アウトプット→インプットにする必要があることについて紹介してきました。
何となくインプットから始めるのではなく、アウトプットから逆算して情報収集をすることによって、最小限のインプットで最大限のアウトプットを出すことができまます。
では続いては、アウトプットから始めるインプットとは何かについて紹介してきます。
アウトプットから始めるインプットとは?
本書では、アウトプットから始めるインプットとは、「何を目的として」「どんな立場(ポジション)で」「どんな役割を期待されて」情報を生かそうとしているのかを明確にしたうえで、情報に接することであるとかかれています。
この記事では、この3つの要点の中でも、まず考えるべき「何を目的として」、いわゆる情報活用の目的について紹介してきます。
本書では、情報活用の目的は次の3つに分かれていると書かれています。
①意思決定の助けとなる情報
②アイデアの元になる情報
③コミュニケーションの手段としての情報
まず①意思決定の助けとなる情報ですが、これは何かを決断するための情報です。
ここで大切なのはスピードです。
意思決定のスピードに時間をかけすぎてしまうと、チャンスを逃してしまいます。
そこで役に立つのが、情報はマイナスのエントロピーであるという考え方です。
エントロピーとは、熱力学の用語で、物質やエネルギーの乱雑度具合や偏り具合を表します。
状態が無秩序で混乱していたり、不確実性が高いと、エントロピーが高くなります。
情報も同じように、エントロピーが高い状態では、不確実性が高く意思決定をすることができません。
そのため、情報収集をする際には、どの情報がエントロピーを低くしてくれるかを考える必要があります。
例えば、ABCの3つのプランの中から、どれを採用しようか考える場合、ABCのそれぞれの見込み売上やリスクといった情報は、エントロピーを低くしてくれる情報になります。
一方で、新たなD案やE案といった情報は、エントロピーを高める情報になります。
もちろん、ABC以外に検討するべき選択肢はあるかもしれません。
しかし、意思決定の場は最終段階であり、その時に新たな選択肢を追加して、また一から考え直すことをしていては、永遠に意思決定をすることができません。
そのため、意思決定を行うための情報を集める際には、エントロピーを低くしてくれる情報を見極めて集めることが大切なのです。
続いて、情報収集の目的の2つ目がアイデアの元になる情報です。
ここでよくしてしまう誤解が、「たくさんのインプットを持っている人がよりよいアイデアを生み出せる」というものです。
どれだけ情報を持っていたのとしても、それがアウトプットに生かされなければ、よいアイデアを生むことができません。
むしろ、たった一つの情報からでも、素晴らしいアイデアを生み出せるのであれば、意味のある情報になります。
本書では、そういった情報を「スパークを生む情報」と表現しています。
このスパークを生む情報を集めるためには、無理に情報を集めたり整理したりせず、自然と脳内に集まった情報を泳がせたほうが、思考が飛躍して新しいアイデアが出やすいと書かれています。
わかりやすく言い換えると、アイデアの元になりそうな情報は、しばらく放置して熟成させるということです。
普段、会話や本などから入ってくる情報に対して、「これは使えそうかも」と思ったものは、頭の中でレ点を打っておいて、放置しておくのです。
そうやって頭の中で熟成させておくことで、ふとしたことがきっかけてで「スパーク」が起こり、斬新なアイデアを思いつくことができるのです。
最後に、情報収集の目的の3つ目がコミュニケーションの手段としての情報です。
あなたがいくら斬新なアイデアを持っていたとしても、相手がその価値を理解してくれなければ意味がありません。
そのため、自分と相手のもつ情報には、どういった共通点があり、どういった差があるのかを意識しておくことが大切です。
この際に、よく2つの円を用いたベン図でイメージされることがあるかもしれません。
しかし、持っている情報の共通点や差は、ベン図で測れるものではありません。
ある分野では、Aさんの方が知識を持っていたり、別の分野では、どちらも知識が不足していたりと、図にすると複雑なものになるはずです。
このような図にまとめていくことで、お互いのもつ情報の共通点や差を正確にとらえることができます。
また、相手と話すときには、すでに共通して持っている部分を聞く必要はありません。
自分は持っていないけど相手が持っている情報を相手に聞いたり、お互いに不足している情報を調べて、伝えるといったことをすることで、無駄なく情報を集めることができます。
さらに、相手の持っていない情報の中でも、特に相手が知っておくべき情報を渡すことによって、相手を説得することが出来るようにもなります。
ここまで、アウトプットから始めるインプットとして、まず最初に行うべき情報活用の目的を3つ紹介していきました。
この3つの目的は、実際にはどれか一つの目的だけで仕事が完結することはありません。
仕事の流れの中で、目的を使い分けることが求められます。
そして、この目的を使い分けることによって、その仕事のそれぞれのステップにおいて、必要な情報を適宜集めることができるため、初めから全てをインプットしようとするスタイルよりも、より短時間で成果を挙げることが出来るようになります。
そのため、あなたの仕事の目的であるアウトプットから、さらに今使うべき情報活用の目的は何かも考えてみて下さい!
本書では、この記事では紹介しきれなかった、「どんな立場(ポジション)で」「どんな役割を期待されて」という視点についても詳しく解説されています。
この2つの視点を持つことで、さらにインプットのスピードを上げることができ、アウトプットも周りと差をつけることができます。
そのため、アウトプットから始めるインプットについて、もっと深く知りたいと考えている方は、ぜひ本書を参考にしてみて下さい!
ではでは。