今回は、望月安迪さん著の『目的ドリブンの思考法』を紹介していきます!
皆さんには、「頑張って仕事をしているけど、なかなか成果があがらない」という悩みを持っている方はいないでしょうか。
そういった方には、目的が足りていません!
目的がないままでは、仕事で成果を挙げることはできないのです。
なぜ目的がないと仕事で成果を挙げることができないのか?また、どうすれば成果をあげるための目的を考えることができるのか?
デロイトトーマツで上位数パーセントの人材に限られる最高評価を4年連続で獲得した著者によって書かれた本書を読むことで、その答えを知ることができます。
この記事では、本書の中から、目的とは何か?から目的の考え方の4ステップについて紹介していきます!
目的ドリブンの思考法の要約
目的とは?
ズバリ、目的とは「何のために?」という問いに対する答えです。
何のために会議をするのか?何のために予算を増やすのか?
「何のために?」が示すものが目的になります。
また、目的を英語で表すと次の3つが当てはまります。
①purpose→より大きな価値を実現している将来の状態
②objective→意図を持って狙いとするところ
③goal→到達点
これら3つの単語を踏まえると、目的とは「新たな価値を実現するために目指す未来の到達点」と言うことができます。
だからこそ、成果を上げることは、目的の達成とイコールなのです。
目的が抜けていると、仕事の成果は上がりません。
目的が抜けている状態で仕事を進めることは、何のためにやっているのかも、未来の到達点もわからない状態で仕事をしていることになるからです。
例えば、会議の議事録を書くという簡単な仕事であっても、何となくまとめるだけでは、上司から「まとめてくれたのはいいけど、何のための議事録なの?」と言われてしまいます。
会議に出席していない人が見ても、すぐに内容を理解できるようにするという目的があるからこそ、それに沿って議事録をまとめようとすると思います。
その結果、会議に出席していない人があなたの議事録を見ることで、しっかりと情報共有ができるという成果を挙げることができるのです。
他にも、目的がないことで次の4つのような深刻な悪影響が発生すると本書では書かれています。
①そもそも対処すべき問題が何か分からない
②何を優先すべきか・劣後するべきか判断できない
③的外れなアクションをとってしまう
④上司にも部下にも動機づけ・説得ができない
『目的ドリブン思考』より
目的がないと、何のためにするのかが分からず、解決すべき問題がわかりません。
解決すべき問題が分からないからこそ、何をするべきなのかが分からず、的外れなアクションをとってしまうのです。
さらに、目的が不透明では上司も部下も「何のためにするのか?」が見えてこないため、動かすことができません。
逆に目的が明確であれば、解決すべき問題がわかり、今何をするべきか優先順位をつけて、目的に直結するアクションをとることができます。
さらに、上司や部下も動かすことができ、より効率的に成果を上げることができるようになるのです。
では、成果を生むための目的は、どのように見つければいいのか?
まずは、目的の考え方の前に、成果を生み出す3層ピラミッドを知る必要があります。
三層ピラミッドを意識しろ!
成果を生み出す三層ピラミッドとは、目的ー目標ー手段です。
三層ピラミッドは、目的が頂点にあり、その目的を成し遂げるために達成が必要な目標が続き、目標の達成に必要な手段が基盤となっています。
そして、上から下に「どのように?」と見た場合と、下から上に「何のために?」と見た場合に、三層ピラミッドは一貫して繋がっています。
三層ピラミッドが一貫してつながっているからこそ、目的に対して有効な手段をとることができるのです。
では、実際に身近な例を使って、三層ピラミッド構造を作ってみます。
例えば、お金を多く貯めたいと考えているとします。
そこでお金を貯めたい目的を、家のローンの頭金を100万円を1年後までに貯めることだとします。
目的を設定したら、続いては家のローンの頭金を貯めるために、どうすればいいか目標をたてます。
目標①:昇給⇒1ヶ月後までに手当がもらえる資格を取る
目標②:副業⇒youtubeで副業収入を得る
目標③:貯金⇒毎月の生活費を2万円下げる
このように目標を設定したら、どのように達成するか、手段を考えていきます。
目標①:昇給⇒手当がもらえる資格を取る
手段①⇒毎日1時間資格の勉強をする
目標②:副業⇒youtubeで副業収入を得る
手段②-1→毎週2本の動画を投稿する
手段②−2→毎晩伸びる動画を研究する
目標③:貯金⇒毎月の生活費を2万円下げる
手段③-1⇨飲み会を月1回にする
手段③-2⇨給料が入ったら5万円を貯蓄口座に入れる
このように、目的を立て、どのように?と掘り下げていくことで、具体的な手段まで落とし込むことができます。
逆に目的がない状態でお金を貯めようとしても、具体的に何をすれば達成できるのかが不透明なため、思うようにお金を貯められなくなってしまいます。
そのため、何か成果を上げるためには、まず目的を立てることが必要不可欠なのです。
では、最後に目的の立て方について紹介していきます。
目的を設定する4ステップ
本書では、目的は次の4つのステップで立てることができると書かれています。
①仕事の「上位目的」とその「背景」をおさえる
②ポジションと時間軸で目的の広がりをおさえる
③何のためにを問い、文字に落とす
④上位者と目的をすり合わせる
それぞれのステップについて詳しく解説していきます。
まずは仕事の上位目的とその背景をおさえるです。
先ほど三層ピラミッド構造を考えた際は、お金をためるという個人的なものでした。
そのため、自分の目的に対して上位目的は存在しませんでした。
しかし、会社で働く以上は、自分の所属するチームや部よりも上の組織があります。
上の組織があるということは、その組織にも目的があり、その目的をもとに上から下に指示がなされていきます。
そのため、上位目的をおさえずに目的を設定してしまうと、ずれが生じてしまいます。
それでは、あなたやあなたのチームがやってきたことは、「別にそんなことは頼んでいないと」、上からは評価されなくなっています。
また、上位目的を言葉としてはおさえたとしても、背景までおさえていないと、上位者との目的にずれが生じてしまいます。
例えば、あなたが営業部門に勤めているとします。
上位目的が「営業部門の筋肉質化」だとした場合、あなたは「筋肉質化ということは無駄な贅肉を取らなければいけないということか。うちには多くの商品ラインナップがあるけれど、主力商品に絞って売ることで筋肉質化すればいいのか」と考えるかもしれません。
しかし、「営業部門の筋肉質化」という目的を設定した上位者は、「近年は少子高齢化により採用数が減り、退職者が増えている。人員が減る中でも、わが社の強みである商品ラインナップをさらに拡充して売るためには、営業力を高める必要がある。そのため、今の営業活動の無駄をなくし、より筋肉質な営業部門を作らないといけない」と考えているかもしれません。
このようにズレがあると、あなたは主力商品に絞って売ることで筋肉質化を図ろうとしますが、上位者からは「なぜ売る商品を絞るんだ!」とお叱りを受けることになります。
そうならないためにも、まずは上位者の目的とその背景までおさえる必要があります。
続いてのステップがポジションと時間軸の目的の広がりをおさえるです。
設定するべき目的は、あなたのポジションと時間軸によって変わります。
もし、あなたが部長だとしたら、「お客様に分かりやすい説明が出来るようになる」といった、一般社員が立てるべき目的を立ててしまっては、目線が低すぎるものになってしまいます。
そのため、あなたのポジションが、どのような目線で目的を設定するべきかを考えることが大切です。
また、時間軸を考えることも大切です。
もし、あなたが部長として1年という時間軸で部の目的を立てようとします。
それなのにもかかわらず、「世界で一番の営業部隊を作る」という目的を立ててしまっては、今後1年間の活動にズレを生んでしまいますし、上位目的ともズレてしまいます。
そのためは、目的を定めるときは、あなたのポジションと時間軸の目的の広がりをおさえて、適切な目的を設定する必要があります。
続いて3つ目のステップが何のためにを問い、文字に落とすです。
この3つ目のステップでは、ようやく目的を設定していきます。
この時に大切なのが、~すべきという使命と、~したいという意思です。
この2つが、目的を生み出すための力の源泉になります。
逆にこの2つがかけている状態では、目的を設定するためのモチベーションがなく、目的も中身のないものになってしまいます。
そのため、この使命と意思をもとに、「何のために」を考えていきます。
もしかしたら、「何のために自分のチームは活動するのか?」と考えても、うまく考えがまとまらないかもしれません。
そういったときは、もし「自分のチームの活動がなくなったら、どうなるのか?」と考えてみましょう。
その答えが、あなたのチームが生み出せる価値であり、目的につながります。
このように、「何のために?」と「もしなくなったら?」の2つで考えていくと、色んな目的が浮かんでくると思います。
目的が浮かんで来たら、それを書き出して「本当にこのためなのか?」「ほかに果たすべき目的はないか?」を繰り返し考えていきましょう。
繰り返し考えていくことで、どんどん目的は磨かれていき、最終的に「これに取り組むべきだ」と、あなたの中で腹落ちする瞬間が来ます。
しかし、目的の設定はここで終わりではありません。
最後に上位者と目的をすり合わせるというステップがあります。
最後に上位者と目的をすり合わせることによって、目的のズレがないことを確認することができ、これから取り掛かる作業が無駄になることを防げます。
さらに、上位者と目的をすり合わせる中で、上位者の視点を学ぶことができます。
上位者が、どういった視点で目的を設定したのかを学んだり、自分からは見えていなかった角度から指摘を受けることによって、上位者のものの見方を吸収することができます。
その結果、次回はより洗練された目的を設定することが出来るようになるのです。
以上、ここまで紹介してきた4つのステップによって、目的を設定することができます。
目的を設定することができたら、さらに「どのように?」と目標と手段を考えることによって、目的に適した手段を考えることが出来るようになります。
もちろん、本書でも目標と手段の考え方について具体的に解説されていいますので、ぜひ参考にしてみて下さい!
ではでは。