今回は、内田和成さん著の『仮説思考』を紹介していきます。
本書の著者である、内田さんはボストンコンサルティンググループという、世界トップレベルの経営コンサルティング会社で20年働かれていました。
2000年から2006年まで、ボストンコンサルティンググループの日本大行列を務められ、さらに、2006年には世界で最も有力なコンサルタントのトップ25人にも選ばれています。
本書は、そんな世界トップレベルのコンサルタントである内田さんによって、優秀なビジネスパーソンなら持っている「仮説思考」について解説されています。
この記事では、本書の中から、仮説思考が大切な理由、仮説思考の使い方、また仮説思考力の鍛え方について紹介していきます!
仮説思考の要約
なぜ仮説思考を身につける必要があるのか?
仮説思考を身につけることができると、仕事ができる人になれます!
仕事ができる人は、答えを出すのが早い人です。
ビジネスでは、時間が限られています。
時間が限られているということは、情報を集めたり、思考をしたり、考えを検証する時間が限られているということです。
仕事ができない人は、時間が限られているのにも関わらず、最初から全ての情報を集めようとする、網羅思考で仕事を進めてしまいます。
情報を集めれば集めるほど、良い答えを見つけることができると思い込んでしまっているのです。
ですが、実際には情報収集や分析に時間がかかりすぎてしまい、答えを出すのが締切直前になってしまいます。
もし、その答えが間違っていたとしたら、期限内に終わらなくなってしまい、仕事ができない人になってしまいます。
そこで仮説思考を身につけることによって、限られた情報で早く正確に問題を発見することができるようになります。
仮説思考では、物事を答えから考えていきます。
答えから考えて、それが正しいか分析し、検証していきます。
そのため、情報収集を行うにしてもう、分析をするにしても、やることが明確になっています。
やることが明確になっているからこそ、最短距離で答えを身につけることでき、その答えについて深く考えることができます。
もちろん、最初に立てた仮説が間違っている可能性もあります。
仮説が間違っていると、情報収集や分析の段階で、仮説の正しさを証明してくれる情報や結果が集まりません。
そのため、早い段階で仮説の間違いに気づくことができます。
そして間違いに気がついたら、また別の仮説を立て、それが正しいか分析をして検証を繰り返していきます。
このように、網羅思考と違い、仮説思考では早い段階で答えを出し、分析や実験によって、さらに深めていきます。
そのため、仮説思考を使うことによって、仕事のスピードを上げることができ、かつ質も高めることができます!
本書では、今回紹介したように、仮説思考の使い方の例が載っていますので、ぜひ参考にしてみてください!
仮説思考の使い方
ビジネスの場では、仮説思考を「問題発見の仮説」と「問題解決の仮説」の2段階で使っていきます。
問題が明確でなければ、解決策を考えることはできません。
そのため、まずは問題を発見していきます。
実際に私も、youtubeチャンネルの運営について考えてみました。
私には、週2〜3本の動画を投稿しているが、再生回数が伸びないという悩みがあります。
そこで、再生回数が伸びない理由はこれではないのかと仮説を立てます。
①インプレッションが少ない
②クリック率が低い
③投稿する動画の本数が少ない
この3つを仮説として立ててみました。
仮説を立てたら、次は問題を絞り込みます。
仮説として立てた、インプレッション、クリック率、本数の少なさについて調べてみます。
そうすると次のことがわかりました。
①インプレッション数
過去28日間のインプレッション数は11.5万回。
インプレッション数は、多い方がいいが、他のYouTuberがどれくらいのインプレッション数があるのかが調べられないため、目安を立てることができない
また、人気の本を紹介すれば、インプレッション数を伸ばすことができるが、人気の本以外にも、良い本があれば紹介していきたいため、まずはインプレッション数を気にしなくても良いと考える
②クリック率
過去28日間のクリック率は、4.9%。
5%以上が、理想のクリック率のため、おおむねクリアしている。
しかし、過去28日間で投稿した動画を個別で見ると、クリック率にばらつきがある
①トゥービーリッチ→5.9%
②第一印象の魔法→4.5%
③頭の良い人が話す前に考えていること→7.6%
④世界で一番優しい考え方の教科書→3.2%
⑤HELP→2.3%
⑥実践型クリティカルシンキング→3.5%
⑦考えるスキルを武器にする→1.9%
⑧解像度を上げる→2.4%
⑨迷わない新NISA投資術→7.3%
上記のように、動画ごとにクリック率に差があり、クリック率が高いほど再生回数も多くなる。
5%以下の動画のクリック率を上げることができれば、再生回数を伸ばすことができそう
③動画の本数
現在、週2本の投稿をしているが、他の書評系ユーチューバーと比べても、少なすぎるわけではない。
このように、立てた仮説について調べてみると、クリック率を上昇させることが、再生回数の増加につながるのではないかと、問題を絞ることができました。
問題を絞ることができたら、具体的な仮説の打ち手を考えていきます。
クリック率を高めるためには、次のような打ち手を考えることができます。
①クリックしてもらいやすいサムネイルを作る
②魅力的なタイトルをつける
①では、サムネイルの配色を考える、サムネイルに入れる言葉をインパクトのあるものにするといった方法が考えられます。
また②の場合であれば、流行っている言葉を入れる、パッとみて内容がわかるように少ない文字数を意識するといったことが考えられます。
打ち手の仮説を考えることができたら、また仮説が正しいかを調べて、打ち手を絞っていきます。
このように、仮説思考では、まず仮説を立て、その仮説が正しいか情報を集めたり分析をして、答えを見つけていきます。
今回の例でも、最初から網羅的に調べようとしたら、まずyoutubeに関連した本を全部読む、youtubeの伸ばし方について書かれた記事を全て読むといったことをしなくてはいけません。
それでは、情報収集に時間がかかりすぎてしまいますし、多く解決策の案が出てしまい、何から手をつければ良いのかわからなくなってしまいます
仮説思考を使い、クリック率を改善した方が良さそうと仮説を立てるからこそ、youtubeについて書かれた本や記事を読む際に、クリック率を上げるための方法が書かれた部分に集中することができます。
また、一つの仮説に集中するからこそ、深く考える時間もあり、より効果のある解決策を考えることができます。
仮説思考力の鍛え方
仮説思考は、一朝一夕で身につくものではありません。
最初から、うまく仮説が立てられるとは限りません。
本書にも書いてありますが、良い仮説を立てられるようになるためには、経験を重ねるしかないと書かれています。
普段の仕事で仮説思考を実践していくことで、徐々に良い仮説を立てられるようになります。
また、仮説思考力を高めることができるのは、仕事だけではありません。
本書では、普段から仮説思考力を高める方法として、次の2つの方法が紹介されています。
①So what?を常に考える
②なぜ?を繰り返す
まず、So what?ですが、日本語にすると、「だから何?」です。
身の回りで起きた出来事に対して、それが意味するところは何かを考え続けます。
最近ではTikTokが若い世代に流行っています。
これに対して、So what?と考えてみると、今の若い世代は、短く楽しめる動画を求めていると考えることができます。
短い動画が好まれるようになってきているため、本の書評動画も、若い世代をターゲットにするなら、短くまとめる必要があるかもしれないのように考えることができます。
このように、身近に起こった出来事に対して、「So what?」を考えることによって、仮説思考力を高めることができます。
続いては、なぜ?を繰り返すです。
著者が務められていたBCGでは、最低でも5回は「なぜ?」を繰り返すこと徹底されていたそうです。
例えば、ダイエットに失敗してしまうことを例に「なぜ?」を繰り返してみましょう。
なぜダイエットに失敗してしまうのか?
→食べ過ぎでしまうから
なぜ食べ過ぎてしまうのか?
→お酒を飲むと食欲が湧いてきてしまうから
なぜお酒を飲んでしまうのか
→仕事の疲れを癒すため
なぜ仕事の疲れをお酒で癒すのか?
→お酒以外にストレスの発散方法を知らないから
なぜ、お酒以外のストレスの発散方法を知らないのか?
→他の方法を試したことがないから
このように、5回「なぜ?」を繰り返すことにより、お酒以外のストレスの発散方法を探すことで、食べ過ぎを防げると、具体的な解決策まで考えることができ、仮説思考力を高めることができます。
仮説を立てることが苦手だと感じる方は、ぜひ「So what?」を考えることと、「なぜ?」を繰り返すことを練習してみてください!
仮説思考を読んだ感想
私は、これまで網羅思考で仕事やyoutube運営を進めてしまっていたなと、本書を読んでいて感じました。
本を読むときも、自分にとって必要な部分を選定することなく、なんとなく最初から最後まで読んでしまっていました。
もちろん、youtubeで本を紹介するためには、全体を読んで、本の内容を理解する必要があります。
しかし、youtube運営についてなど、何か課題があって情報収集をする際には、網羅思考では実行に移すまでに時間がかかり過ぎてしまいます。
そのため、どんどん課題を解決できるようになるためには、本書に書いてある仮説思考力を身につける必要があるんだなと思いました。
これまで、情報収集ばかりでなかなか実行に移せていなかったという方や、仕事のスピードや質を上げて、できる人になりたいと思っている方は、ぜひ本書を読んでみてください!
ではでは。