平均寿命23.7歳。
これが何の数字だか分かりますか?
これは日本の企業の平均寿命です。
さらに、4分の1の企業は誕生から10年も待たずに倒産にしていきます。
その一方で、50周年を迎えたハーレーダビットソンや100年以上も続いているジムニーといった長寿の企業もあります。
短命で終わってしまう企業と長生きできる企業の違いは何でしょうか?
それは、信者の存在です!
熱狂的な信者が多ければ多いほど、その企業は長生きすることが出来ます。
では、どうやって信者を作りだすことが出来るのでしょうか?
『カルトブランディング』が信者の作り方を教えてくれます!
Youtubeではアニメーションを使った解説動画を挙げています!
よろしければ、こちらもご覧ください!!
Contents
カルトブランディングの要約
カルトブランディングとは?
カルトブランディングとは、カルト的な人気を誇り、熱狂的な信者がいるカルトブランドを目指すブランディング手法のことです。
カルトブランドという概念は北米で使われているものです。
名前からも分かる通り、カルト宗教からヒントを得ています。
もちろん、カルト宗教のような暴力的な行為をするといっものではありません!
主に信者とコミュニティの作り方をカルト宗教からヒントを得ているものです。
本書で紹介されている『カルトになれ!顧客を信者にする7つのルール』によると、カルトブランディングの定義について次のように書かれています。
企業、人間、場所、組織を実際に『好きなブランドのためなら身をささげる信者』の集合体に変えるプロセスを目指す
『カルトになれ!顧客を信者にする7つのルール』より
カルトブランドの信者は、企業が頼んでいるわけではないのに、自発的に伝道師となり、他の人に商品の魅力を広げてくれます。
では、カルトブランドの特徴とは?
本書では、『The Culting of Brands』の内容から次の2点が挙げられています。
①イデオロギーが革新的か
②明確なコミュニティーを持っているか
『カルトブランディング』より
皆さんは、アメリカのコーヒーブランド「デス・ウィッシュ・コーヒー」をご存じでしょうか?
「デス・ウィッシュ・コーヒー」には、「世界一強いコーヒー」というイデオロギーがあります。
なんと、通常のコーヒーの2倍のカフェインが含まれているんです!
パッケージはドクロでインパクトがあります。
それでいて、オーガニック栽培、フェアトレードといったこだわりもあります。
※フェアトレード
→発展途上国でつくられた農作物や製品を適正な価格で継続的に取引することにより、生産者の生活を支える貿易
強烈なイデオロギーが反響を呼び、「デス・ウィッシュ・コーヒー」は熱狂的な信者を抱えています。
外国語学習アプリのデュオリンゴはコミュニティーの構築に力を入れることでカルトブランドになることが出来ました。
ユーザー数は世界で3億人を誇り、信者も多くいます。
従来のマーケティングでは、マーケティングファネルという考え方がありました。
マーケティイングファネルとは、大勢の人を集め、徐々に顧客へと育てていくものです。
最終的に顧客になるのは、最初に集めた中からごく一部になります。
それに対して、デュオリンゴのコミュニティー責任者であるローラ・ネスラー氏は、「コミュニティーファネル」という考え方を取り入れました。
コミュニティーファネルとは、マーケティングファネルと真逆の考え方で、少数のコミュニティーの管理者の努力によってコミュニティーを拡大していき、大勢の顧客を獲得するという考え方です。
さらに、デュオリンゴの学習コースはコミュニティー内でボランティアによって開発されています。
顧客と共に創り上げる仕組みが構築されており、コミュニティーによってビジネスの拡大スピードが加速しています。
また、ネスラー氏は「目的」がコミュニティーに必要だと言っています。
ブランド・コミュニティーの明確な「目的」があることによって、コミュニティーがより強固なものになっていきます。
ここまでカルトブランディングの基礎の部分について、本書をもとに紹介してきました。
では、具体的なカルトブランディングの作り方について、これから紹介していきます!
カルトブランドの作り方
本書の筆者である田中森士さんの考案した、カルトブランディングは次の6ステップです!
①存在理由を明確にする
②ペルソナを定める
③ストーリーを組み立てる
④タッチポイントを探る
⑤コミュニティーをサポートする
⑥解析とメンテナンス
『カルトブランディング』より
それぞれのステップについて、これから紹介していきます!
①存在理由を明確にする
まずは存在理由を考えることからスタートです。
顧客からの共感を得るためには、「低価格で高品質な商品を提供します!」のようにありふれたものではなく、「子育て世代を応援します!」「地球環境を守ります!」のような企業の存在理由を発信する必要があります。
カルトブランドの多くは、革新的なイデオロギーも持っているため、存在理由に革新性があると良いと本書では書かれています。
そのため、他の企業とは違いを出した存在理由を考える必要があります。
これまで目を向けてこられなかった問題や、当たり前だと思われている仕組みを変えようとするなど、他にはない存在理由が効果的になります。
②ペルソナを定める
存在理由を考えた後は、ペルソナを設定します。
ペルソナとは、ターゲットとなる人物像のことを指します。
どんな人にこの商品を届けるのかを決めることで、一貫した商品やコンテンツを発信することが出来ます。
逆にペルソナを設定していないと、発信に一貫性がなく、「結局、何の会社なの?」と顧客に思われてしまいます。
ペルソナを決める際に、「属性」「ライフスタイル」「悩み・思考」の3ステップで設定していくのが良いと本書では書かれています。
「属性」とは、名前、年齢、性別、職業、居住地、家族構成、年収、趣味など基本的な情報のことを指しています。
この3ステップを踏んで、なるべく細かくペルソナを設定していきましょう。
③ストーリーを組み立てる
ストーリーは、顧客のエンゲージメントを高めるために必須です。
多くの人は、どんな形ではあれ、幼少期のころから物語に触れて成長してきています。
おじいちゃんやおばあちゃんから昔話を聞いたり、絵本を読み聞かせしてもらったりなど、様々な思い出があると思います。
また、「お話を聞かせて」と大人たちにねだっていたという方も、多くいらっしゃるのではないでしょうか?
(私の息子はまさにこの状態です(笑))
このように私達は、物語、ストーリーに強く惹かれます。
しかしストーリーになっていれば何でも良いというわけではなく、①で決めた存在理由を顧客に伝えるために組み立てる必要があります。
本書では、ストーリーの素材は、創業エピソードや経営危機、顧客との交流などが鉄板だと書かれています。
何を素材にするにせよ、存在理由を伝えるためにストーリーを組み立てること大切です。
一つ注意なのは、フィクションの使用です。
事実に基づいてストーリーを組み立てるのが理想ではありますが、フィクションを少し入れる場合もあります。
しかし、フィクションが100%事実かのような表現は避けるべきです。
顧客をだますことになってしまい、ブランドの信用がなくなってしまいます。
④タッチポイントを探る
タッチポイントとは、ブランドと顧客・潜在顧客との接触ポイントのことです。
いつ、どこで、何を顧客に届けるのかを考えます。
このタッチポイントは、オフラインとオンラインの両方で考える必要があります。
最近では、SNSの利用者が多くなったこともあり、SNSを通じて商品を宣伝したり、ブログがYoutubeなど自社で運営するオウンドメディアを使って商品を販売、宣伝するケースが増えてきています。
もちろん、オフライン・オンラインの全てに広告を入れるなど投資をする必要はなく、②で定めたペルソナが最も使っているプラットフォームは何か、どんな場所に良く行くのかといった情報から、投資先を絞ることが大切です。
⑤コミュニティーをサポートする
コミュニティーはカルトブランディングにおいて、欠かせない存在です。
顧客が増えてきた段階でコミュニティーをサポートする方にも力を入れましょう。
本書で紹介されている例としては、コミュニティーにブランドのロゴを使わせる、一緒にイベントを企画するなどが挙げられています。
⑥解析とメンテナンス
ブランド認知を顧客のエンゲージメントは、定期的に効果測定する必要があります。
本書では、オススメのツールとして「BuzzSumo」が紹介されていました。
「BuzzSumo」では、ブランド名を検索すると、どれだけのネット記事でブランド名が使われているのか、その記事がフェイスブック・Twitterでどれだけリアクションされているのかが数値化されます。
Youtubeも視聴数・コメント数が一覧で表示されます。
また、顧客に対するアンケートもエンゲージメントを計るのに有効です。
特に、「親しい友人にブランドをおすすめするか」という切り口でアンケートを作ることで、より正確にエンゲージメントを計ることが出来ると本書では書かれています。
カルトブランディングを読んだ感想
本書で書かれている内容は、企業のブランディングについてです。
しかし、SNSやYoutubeなどで情報発信をしている人にも役立つ知識です。
情報発信をしている人の多くは、自分に信者がつけば嬉しいはずです。
信者になるのは、その人の考え方に共感した、その人のコミュニティーが盛り上がっているなど、企業のブランディングと共通しているところが多いと思います。
現代人の多くは、混沌とした社会の中で、生きる意味・働く意味といった人生における「意味」を見失っています。
そして、意味を追い求めています。
コロナウイルスの流行により、自分と向き合う時間が増えたことによって、意味を考える・求める動きは強くなりました。
だからこそ、意味を提示するブランド・人に多くの信者がついていきます。
信者が増えることで、よりビジネスを拡大することが出来ます。
企業でも個人でも、信者を作りたい!という方は、ぜひ『カルトブランディング』を読んでみて下さい!
ではでは。