今回は、筧将英さん著の『考えるスキルを武器にする』を紹介していきます。
皆さんは、考えることに苦手意識を持っていないでしょうか?
私も、職場で上司から「なんか良いアイデアない?」と言われて、困ってしまったことがあります。
おそらく、皆さんにも同じような経験があるのではないでしょうか?
社会に出ると、考えることは重要視されます。
ですが、学校では考え方の授業はありませんし、会社でも考え方を教えてくれるわけではありません。
では、どうやって考え方を身につければ良いのか?
本書を読むことによって、仕事で通用する考え方を身につけることができます。
本書の著者である、筧さんは15年ほど、電通の戦略プランナーとして働き、現在はコミュニケーション戦略とブランド戦略を得意とする「Base Strategy株式会社」を設立し、代表取締役を務められています。
本書では、そんな考えるプロである筧さんによって、考えるための3つのコツと10のワザについて書かれています。
そのため、考える技術を身につけて仕事で困らないようにしたいという方や、これから考えることを仕事にしたいと考えている方に役立つ1冊です。
この記事では、考えるための3つのコツの概要と、10の技から2つを紹介していきます!
『考えるスキルを武器にする』の要約
考えることの3つのステップ
本書では、考えることを次の3ステップに分けています
①頭の外に出す(初級編)
②付加価値を作る(中級編)
③提案性を持つ(上級編)
まず最初のステップでは、あなたの頭で考えたことをアウトプットしていきます。
おそらく、考えることが苦手だという方の多くは、この頭で考えたことを外に出すことが苦手なのではないでしょうか?
しかし、本書にも書かれているとおり、頭の外に出すことは訓練をすることで、徐々に慣れることができます。
続いてのステップは、付加価値をつけるです。
付加価値とは、新しいことや、あなただけが思いつくことです。
誰でも思いつくことでは、あなたの企画や提案は通りません。
あなたの企画や提案に価値を生むためには、あなたの付加価値を足す必要があります。
本書では、その付加価値を生むためのインプットの方法、意味や価値がある情報を見つける方法、価値を生み出すための仮説の立て方について書かれています。
最後のステップが、提案性を持つことです。
仕事では、人を動かすことができなければ、いくらあなたのアイデアが優れていたとしても意味がありません。
あなたの上司や同僚、お客様を動かすためには、提案性が必要です。
本書では、提案性とは、驚きと納得があることであると書かれています。
そこで驚きと納得を生むための考え方も、本書では紹介されています。
この記事を読んでくださっている、すべての方が広告業界に勤めていたり、マーケティングに携わっているわけではないと思います。
そのため、この記事では、そういった方でも日常的に実践しやすそうな内容として、頭の外に出す方法と付加価値を作る方法を1つずつ紹介していきます。
考えをまとめるな!
皆さんは、上司から「もっと簡潔に話して」「要点だけ話して」と言われてしまったことはないでしょうか。
社会に出ると、この「簡潔にまとめて伝える力」は重要視されます。
そのため、皆さんも話す前には、自然と話をまとめる癖がついていると思います。
しかし「考えること」においては、「まとめる」ことは敵なのです。
考える時には、まずはあなたの考えたことを全て外に出すことが大切です。
そこで、考えをまとめようとしてしまうと、本当は大事だった情報も埋もれてしまいます。
そのため、すべてを頭の外に出すために、まとめないこと大切なのです。
では、どうすれば、考えをまとめずに頭の外に出すことができるのか?
その方法は、「書くこと」です。
あなたの頭に浮かんできたことを書き出すことによって、すべて外に出すことができます。
また、書き出すことで、あなたの中で同じ考えが堂々巡りしてしまうことを防ぐことができます。
考えることが苦手だと言っている人のほとんどは、頭の中で同じことを繰り返し思っているだけなのです。
考えを書き出す時に、同じことばかりを書く人はいないと思います。
同じことを書いたって、時間の無駄だからです。
そのため、書くことで、頭の中で同じことを、ぐるぐると同じことを思うことから抜け出すことができます。
おそらく、書き出すことをめんどくさいと感じる方もいると思います。
ですが、一度でもいいのでやってみてください。
やってみると、書き出していくうちに、どんどんと新しいアイデアが頭に浮かんでくることを実感できると思います。
これまで、書き出す習慣がなかったという方は、今の悩みなどを題材にして、課題や改善点などを、5分間書き出す練習をしてみてください!
企画やアイデアの前に考えるべき3つのこと
本書では、仕事においては、企画やアイデアよりも先に「問題」「課題」「戦略」を考えなければいけないと書かれています。
この3つを決めた上で、戦術として企画やアイデアが必要になると書かれています。
このうち問題と課題は、違いが分かりづらいと思います。
本書では、問題と課題について、下記のように書かれています。
「問題」とは、「あるべき姿」を阻害されている状態のことです。
「課題」とは、その阻害要因を解消するために解決すべき具体的なポイントを指します。
私たちが直接的に解決しなければいけないのは「課題」です。
『「考えるスキル」を武器にする』より
例えば、問題が30日後の試験日までに参考書を200ページやり終える必要があるだとします。
それに対する課題は、毎日1時間勉強するためにはどうすればよいか?毎日10ページずつ進めるためには、どうすれば良いか?といったものになります。
このように、問題とは、すでに起こっていることであり、課題はとは解決するために行ううことなのです。
そして、この課題が明確にできれば、問題は半分解決しているようなものです。
問題とは、今と未来の差分です。
今回の例であれば、参考書を200ページ終えることが差分になります。
その差分を埋めるために、こえなければいけない壁が課題です。
そして、この課題を解決するのが戦略であり、そのために実行することが戦術になります。
今回の例であれば、毎日1時間の勉強時間を作ることが戦略であり、戦術は、毎朝1時間早く起きて勉強をするといったことが考えられます。
このように、課題を明確にすることができれば、解決までの道のりは、かなり見えやすくなります。
逆に課題が曖昧であったり、適切ではないと、間違った戦略をとってしまうことになります。
本書でも、課題と戦略はワンセットと書かれているように、良い課題が良い戦略を生み出します。
では、良い課題を見つけるためには、どうすれば良いのか?
まず良い課題とは、それを解決することで、一気に複数の問題が解決されることです。
仕事では、無限に時間が与えられるわけではありません。
限られた時間やリソースの中で、最大限の結果を出すことが求められます。
そのため、一つの打ち手で、多くの問題を解決する必要があります。
そこで、複数の問題を一気に解決できる課題を見つけることができれば、ベストは戦略と戦術を見つけることができます。
では、複数の問題を一気に解決できる課題を見つけるためにはどうすれば良いのか?
まずは、課題を特定するために、事象と原因の因果関係を整理していきましょう。
整理するためには、事象や原因、解決策など、思いつくことをすべて書き出していき、関係がありそうなものを同志をつなげていきましょう。
先ほど紹介した通り、書き出す際には、まとめようとせず、浮かんできたことをどんどん書き出すことが大切です。
実際に、私が参考書が終わらないという問題をもとに、事象と原因の因果関係を簡単に書いてみました。
まず参考書が終わらない原因は、勉強時間が足りないことと、やる気がないことだと考えました。
そして、勉強時間が足りないのは、家では集中ができないから、残業があるからと課題を分解していきました。
このように、どんどんと分解をしていき、関係がありそうなもの同士を矢印で繋げていきます。
次に、つながっている矢印の数を数えます。
このつながっている矢印が一番多いものが、あなたが解決するべき課題になります。
つながっている矢印が多いということは、複数の問題と関連しており、ここを解決することで、一気に複数の問題を解決することができる可能性が高いからです。
今回の場合ですと、家で集中することができないと残業が3個で一番多くつながっていました。
課題が見えてくると、集中できる環境を作る、残業があっても勉強時間を確保できるようにするといった戦略が見えてきます。
そして、それらの戦略から、朝1時間早起きをして、会社の近くのカフェで勉強をするといった戦術を立てることができます。
このように、適切な課題を見つけることによって、適切な戦略と戦術を立てることができます。
課題がふわっとしたまま戦術ばかり考えていても、あなたの問題を解決することはできません。
真の課題が勉強時間を確保することなのに、いくら本で効率の良い勉強法を知っても意味がありません。
そのため、事象と原因を整理して、真の課題を見つけ、そこから戦略と戦術を立てるようにしましょう。
ぜひ、皆さんも会社での問題や、ご自身の抱えている悩みについて、事象と原因を整理することを試してみてください!
『考えるスキルを武器にする』を読んだ感想
私が以前に読んだ『世界で一番やさしい考え方の教科書』の中では、思考するとは、単発の活動ではなく、認知→思考→行動のサイクルを回していくことだと書かれていました。
思考するためには、まずは事象を正しく認知する必要があります。
何が起こっているのかを正しく把握できていなければ、いくら考えても良いアイデアは生まれてきません。
本書でも、良い課題が良い戦略を生むと書かれているように、アイデアを出す前の段階が重要なんだなと思いました。
考え方というと、色んなフレームワークがありますが、フレームワークを使う前の準備ができていないと、意味のないものになってしまいます。
そのため、良い課題と良い戦略はワンセットということを意識して、仕事やyoutube活動に臨んでいきたいと思います。
考える技術を身につけて仕事で困らないようにしたいという方や、これから考えることを仕事にしたいと思っている方は、ぜひ本書を読んでみて下さい!
ではでは。