今回は、ジュリア・ケラー氏著の『Quitting やめる力 最良の人生戦略』を紹介していきます。
皆さんは、仕事や勉強、人間関係など、これまで続けてきたけど、やめようかどうか悩んでいることはないでしょうか?
おそらく中には、長年悩んできたけど、なかなかやめられずにいるという方もいると思います。
実は、これほど辞めることができない動物は、人間くらいしかいないのです。
本書にも書かれている通り、ミツバチやカラスなど、他の動物は生き延びるために辞めることを選択します。
動物にとって一番大切なことは生き延びることであり、そのために無駄なものは諦める必要があります。
では、我々人間はなぜ辞めることができないのか?
本書を読むことで、私たちがやめることができない理由と、私たちが幸せになるための辞め方のヒントを得ることができます。
この記事では、本書の中から、辞めることに悪いイメージがある理由、私たちがやめられない理由、またどんな時に辞めるべきなのかについて紹介していきます!
Contents
QUITTING やめる力 最良の人生戦略の要約
なぜ辞めることは悪いイメージがあるのか?
皆さんは、やめることに対して、どんなイメージを持っているでしょうか?
おそらく、やめる人は根性なし、この先何をやっても成功しないなど、ネガティブなイメージを持っている方が多いと思います。
逆に続けることに対しては、ポジティブなイメージを持っている人が多くいます。
では、なぜやめることに対して、我々はネガティブなイメージを持っているのか?
それは、私たちは長い間、様々なメディアや人によって、やめることは悪であり、続けることが正義であることを刷り込まれてきたからです。
実際に、ヒットした映画やドラマには、主人公が逆境に立たされても最後までやる抜くことで成功を手に入れるというストーリーのものが多くあります。
私の大好きな『ドラゴン桜』というドラマも、落ちこぼれ高校生が、尋常ではない努力をして1年で東大に合格するというストーリーです。
他にも、売れている自己啓発本や、世間的に成功したと思われている人が書かれた本にも、続けることの大切さ、続ける人にしか成功はつかむことができないといった内容はよく書いてあります。
本書でも、その代表例として1859年に出版された『自助論』をあげています。
本書では、『自助論』が忍耐力は何よりも大切であり、それなしでは幸せで豊かな人生は送れないという考えを世間に広めたと書かれています。
実際に『自助論』では、様々な分野の成功者の感動的な伝記が書かれています。
そして、出版当時から多くの人が本書を先を争うように買い求め、徐々に忍耐力が大切であるという考えが広まっていきます。
『自助論』のほかにも、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』など、続けることのみが成功するための方法であるという認識を我々に植え付けた作品はたくさんあります。
このように、やめること=悪という考えは、いわば長年形成されてきた文化によって、つくりだされ、育まれてきたものなのです!
ですが、本来辞めることは私たち人間にとって必要なことであり、私たちは、もっと辞めることに対して積極的になっていいのです。
むしろ、やめるべきときにやめることができなければ、大きな後悔をすることになります。
また、やめることで、新しいことに取り組む余白が生まれ、新たな人生を歩むことができるのです!
ですが、長年形成されてきたイメージによって、私たちは周りから「根性なし」という烙印を押されたくないがために、やめることをためらってしまうのです。
また、辞めることを阻害しているのは、これまで長年形成されてきたイメージに加えて、私たちの内なる感情が原因にもなっています。
続いては、その私たちがやめられない原因について紹介していきます!
なぜあなたは辞められないのか?
本書では、私たちがやめたくてもやめられない原因は2つあると書かれています。
それが、恐怖とサンクコストの誤謬です。
これまで、皆さんは仕事を辞めようか考えたことがあるでしょうか。
仕事を辞めたくても、なかなか決断できない人の多くは恐怖を感じでいると思います。
今の仕事をやめたら、次の仕事が見つからないかもしれない、たとえ見つかったとしてもうまくいかないかもしれないなど、恐怖を感じてしまうかもしれません。
何かをやめるということは、今の環境を捨てるということです。
そして、人は環境がかわること、特に未知の未来にたいして、恐れを抱きます。
そのため、あなたが仕事を辞めようか悩んでいるときに感じる恐怖は、当たり前のものなのです。
ですが、問題はやめるべきときにやめられないことです。
私も以前に働いていた会社で、やめるべきときにやめられず、適応障害という精神疾患を患ってしまいました。
以前の会社では、長時間の残業、上司からのパワハラがあり、入って3ヶ月もしないうちに、私の体と心はボロボロになってしまいました。
壊れてしまう前にやめてしまえれば良かったのですが、やはり私も「入って3ヶ月の仕事をやめたら、転職先が見つからなくなるのではないか」と恐怖からやめられませんでした。
その結果、出社する途中、最寄り駅で過呼吸になり、倒れてしまうことになってしまいました。
その後、病院に行き、適応障害と診断され、仕事をやめ、6ヶ月間の休養を経て、適応障害も治すことができました。
当時は駅員さんにも助けてもらい、また事情を話せば、会社側も理解してくれたこともあり、万が一には至りませんでした。
ですが、あの時にもっと早くやめる決断ができていれば、半年間も休養する必要はなかったかもしれません。
では、やめることの恐怖に打ち勝つためにはどうすればいいのか?
本書では、恐怖に打ち勝つ唯一の方法は、楽観主義者になることだと書かれています。
次の仕事が見つからないかもしれないと悲観的に考えるのではなく、もっと自分にあった仕事を探せばいいやと楽観的に考えることによって、恐怖に打ち勝つことができます。
その結果、やめるという選択を取ることができるのです。
続いて、私達がやめることができない原因は、サンクコストの誤謬です。
まずサンクコストとは、すでに支払ってしまい、回収することができないコストのことです。
例えば、長年務めている会社をやめたいと思ってもやめられないのは、今まで積み上げてきた時間や努力がもったいなく感じてしまい、やめられなくなってしまいます。
このように、私達には、これまでかけてきた時間やお金、努力がサンクコストとなり、やめるべきときにやめられなくなってしまいます。
実際に本書でも、サンクコストの誤謬が原因で事業に失敗してしまった例が書かれています。
私も、馬鹿な話なのですが、大学受験のときにサンクコストの誤謬に陥ってしまいました。
当時、私は英語が大の苦手で、まずは文法を勉強しようとしました。
そこで、フォレストという分厚い参考書を1ページずつ写経していったのです(笑)
辞書レベルに太い参考書を1ページずつ写経するのは、とんでもない時間がかかりますし、ほとんど意味がありません。
途中で、これって意味があるのかな?と思ったこともありましたが、すでに半分以上終わっていたこともあり、やめることができませんでした。
結果、写経だけで3ヶ月もかかってしまい、ほとんど英語力が上がらず、無駄にしてしまいました。
もし、やめるという選択肢を持つことができていれば、1、2か月は時間を無駄にしなくて済み、英語が原因で大学受験に失敗することもなかったかもしれません。
このように、これまでかけてきたサンクコストを気にしすぎると、本来であればやめるべきこともやめられなくなってしまいます。
そのため、やめたほうが良いと分かっているのにやめられないのは場合は、サンクコストの誤謬に陥っていないか考えることが大切ですね。
どんな時に辞めればいいのか?
ここまで紹介してきた通り、やめるべき時にやめなければ、のちに大きな後悔をすることにつながります。
それなのに、私たちは辞めることは最終手段のように考えてしまっています。
ですが本来であれば、あなたの体や心が壊れてしまう前に、また大きな失敗に終わってしまう前に、やめるという選択肢を取るべきなのです。
では私たちは、どんな時にやめればいいのか?
本書では、残念ながら万人に当てはまる方程式はないと書かれています。
あなたが、前に進み続けるべきか、辞めるべきかは、その時に状況にも人にもよります。
例えば、同じ仕事を辞めたいという悩みでも、たまたま今日上手くいかなかったからなのか、蓄積されてきて、今にも爆発しそうだからなのかにもよります。
もし、これまで仕事が上手くいってきたのに、たった一度のミスで辞めてしまってはもったいないです。
本書にも書いてある通り、やめるとは、何でもかんでも嫌なことから逃げることではありません。
やめるとは、あなたの人生を豊かにするための選択肢の一つです。
そこで、もし今後あなたがやめるか続けるか迷うことがあれば、次のことについて考えてみて下さい。
「私は、自分自身の考えに基づいて判断しようとしているのか?やめたら周りから白い目で見られるかもしれないことを恐れているだけじゃないのか?
自分が本当に望んでいることを選んでいるのか?それとも誰かの考えに従おうとしているだけなのか?」
この質問に答えることによって、やめることは決して悪いことではなく、自分の幸せのために、自分の意思で選択していいのだと思えるようになります。
やめることは、決して失敗ではありません。
やめることは、問題ではなく解決策なのです。
本書には、実際にやめたことで成功した人、幸せを手に入れた人の実話が多くのっています。
これまで、辞めることにマイナスなイメージを持っていたという方や、今辞めたいのに、なかなかやめれずにいるという方は、ぜひ本書の実例を読んでみて下さい!
QUITTING やめる力 最良の人生戦略を読んだ感想
私の祖父母は、よく「継続は力なり」ということ言っていました。
私は、その教えに恨みを持ったことはありませんし、本書を読んだ後でも感謝しています。
継続することで、苦手だった英語を克服し、英語で仕事が出来るようになっています。
ですが、これまでやめるという選択を上手くできなかったがゆえに失敗してしまったことがあることも事実です。
もっと、うまく辞めることができていれば、あの時に失敗しなかったのかもしれないと思うことはあります。
だからこそ、本書に書いてあることを参考に、やめることは当たり前の選択肢であること、私の人生を豊かにしてくれるものということを意識していきたいと思います。
今辞めるか続けるかで悩んでいるという方や、辞めたいのに長年辞められずに悩んでいるという方は、ぜひ本書を読んでみて下さい!
ではでは。