今回は、ハル・ハーシュフィールド氏著の『THINK FUTURE「未来」から逆算する生き方』を紹介していきます。
皆さんは、ダイエットや貯金が続けられない、やらないといけないことがあってもつい先延ばしにしてしまうといった悩みはないでしょうか?
本書はそういった方に役立つ1冊です。
本書の著者は、UCLAビジネス・スクールの心理学教授であり、未来の自己についての研究で、多数の受賞歴があります。
本書では、そんな著者によって、今の自分となりたい自分のギャップを埋めるための方法について書かれています。
この記事では、その本書の中から、人は未来の自分を他人のようにみている、未来の自分を蔑ろにしてしまう原因、未来と現在の自分のギャップを埋める方法の3つについて紹介していきます!
THINK FUTUREの要約
人は未来の自分を他人のようにみている
貯金をしようと思っても、我慢できずに買いたいものを買ってしまう、
ダイエットをしようとしているのに、甘いものが我慢できない
といった、未来のために今動くことができないのは、私たちが未来の自分を他人の親ようにみているからです。
実際に著者が行ったMRIを使った実験でも、未来の自分を他者を考えるように扱っていることがわかりました。
この実験では、被験者はMRIに横たわり、表示された特徴をみて 、現在の自分と未来の自分、現在の他者と10年後の他者のどれに当てはまるかを考えさせます。
その結果、未来の自分を考えた時の脳の反応と、他者を考えた時の脳の反応が非常に似ていることがわかったのです。
このように、私たちは未来の自分を他人のように考えてしまうのです。。
そして、私たちは、基本的には利己的な存在であり、自分の幸福を追求します。
だからこそ、他人のように感じられる未来の自分のために貯蓄やダイエットを頑張るよりも、今の自分が幸せになれるような行動をとり続けてしまうのです。
しかし、私たちは常に利己的だというわけではありません。
家族や友人、パートナーなど、大切な人のためには、自分を犠牲にして動くことがあると思います。
そのため、未来の自分のために動くための鍵は、未来の自分と現在の自分との関係性なのです。
実際に著者が行った実験や、アメリカの消費者金融保護局が行った調査では、将来の自分に親密感を覚えている人の方が、貯蓄が多く、経済的に豊かであることがわかっています。
この傾向は、お金に限った話ではありません。
未来の自分とのつながりが強いほど、健康のために運動をしたり、成績が上がる、精神的な充足など、あらゆる面で効果があるのです。
これは、未来の自分とのつながりが強いほど、将来のために行動をしようという意欲が上がるからです。
ということは、現在の自分と未来の自分の関係性を親密にすることができれば、未来をより良くするための行動が取れるのです。
では、なぜ私たちは、未来の自分とのつながりが強く感じることができず、未来の自分を蔑ろにしてしまうのか?
続いては、その原因について紹介していきます。
未来の自分を蔑ろにしてしまう原因
本書では、未来の自分を蔑ろにしてしまう原因として、3つの脳内タイムトラベルのミスが解説されています。
①現在の自分に注目しすぎるあまり、未来の自分を蔑ろにするミス
②未来について考えるものの、うわべしか考えていないミス
③未来が現在とは異なる可能性を認識できないミス
『THINK FUTURE』より
まず①現在の自分に注目しすぎるあまり、未来の自分を蔑ろしにしてしまうミスは、未来よりも現在の方がわかりやすいため起こってしまいます。
未来のことを正確に予測することはできませんが、現在のことであれば、自分の行動の結果がすぐにわかります。
そのため、予測不可能な未来よりも、現在の自分を優先してしまうのです。
また、未来の時間が現在に近づくほど、私たちは忍耐力を発揮できず、未来のために行動できなくなってしまいます。
例えば、皆さんが宝くじで10万円を当てたとします。
一年後に受け取ることができるが、受け取れる額は手数料を引いた9万9000円になる。
もし一年半後に受け取る場合は、全額の10万円を受け取ることができると言われたら、皆さんはどちらを選ぶでしょうか?
おそらく一年半後に10万円を受け取る人が多いと思います。
では別の宝くじで、同じく10万円を当てたとして、本当なら半年後に換金だけど、1000円を手数料として払えば、当日に換金できると言われたらどうでしょうか?
当日に1000円を払って、差額の99000円を受け取る人ことを選ぶ人が多いのではないでしょうか?
どちらの宝くじも手数料は1000円、我慢する時間は半年間と変わりはないのですが、報酬を受け取ることができるのが今日になると、お金を受け取ることを選択してしまうのです。
このように、未来の時間が現在に近づくほど、未来のための行動が取れなくなってしまうのです。
続いて、2つ目の未来について考えるものの、うわべしか考えていないミスですが、未来の自分の気持ちが想像できないことによって起こってしまいます。
皆さんは、めんどくさい仕事や家事などを先延ばしにしてしまうことはないでしょうか?
きっと、「今はやる気がないが、あとでやる気が出た時にやろう」と後回しにしてしまうのではないかと思います。
未来の自分ならやる気があると思って後回しにしたとしても、未来の自分も現在の自分と同じように、その仕事や家事から逃げたいと思ってしまいます。
その結果、後で後でと先延ばしを繰り返してしまい、取り返しがつかなくなった時に、「なんでもっと早くやらなかったんだ」と後悔する羽目になるのです。
最後に3つ目の未来が現在とは異なる可能性を認識できないミスですが、プロジェクション・バイアスと、歴史の終わり幻想の2つの原因があります。
まずプロジェクション・バイアスとは、現在の自分の感情を未来の自分の感情に、過剰に投影してしまうことです。
皆さんには、お腹が空いている時に、スーパーに買い物に行って、買いすぎてしまったという経験はないでしょうか?
お腹が空いているという現状を、未来の自分にもそれを当てはめてしまい、晩御飯を多めに買ってしまうということが起こってしまうのです。
続いて歴史の終わり幻想とは、現在の自分の好みや性格は今後もそれほど変わらないと考えてしまうことです。
実際に今自分がハマっていることは、五年後も10年後も同じように好きなままでいると考えてしまいます。
また今内気な性格な人は、10年後も内気なままだと考えてしまいます。
しかし、過去から現在の自分を考えてみると、自分の好みや性格は徐々に変化していっていると思います。
学生時代に好きだったが、社会人になって興味を失ってしまうものもあれば、小学生の時は内気だったのに、大学生や社会人になって、外交的になったという人もいると思います。
過去から現在の自分を考えると、自分の好みや性格が変わることは感じることができるのに、未来の自分はあまり変わらないだろうと考えてしまうのです。
このように、プロジェクション・バイアスと歴史の終わり幻想によって、未来が現在とは異なる可能性を認識できなくなってしまうのです。
以上、ここまで未来の自分を蔑ろにしてしまう3つの原因について紹介していきました。
では最後に、未来の自分との結びつきを強くするために、未来と現在の自分のギャップを埋めるための方法を紹介していきます!
未来と現在の自分のギャップを埋める方法
未来と現在の自分のギャップを埋めるためには、未来の自分を引き寄せる必要があります。
本書では、未来の自分を引き寄せる簡単な方法として、自分の老いた写真をみるという方法が紹介されています。
行動科学者のタムラ・シムズが行った、学生に自身の写真を見せるという実験では、自身の老け顔のアバター写真を見た学生ほど、ファイナンシャル・プランニングを学ぶ意欲が高まったり、自身の資産管理能力に自信が持つようになり、財務知識が向上しました。
またケニアでは、農村に住む数千人の女性に将来の自分の姿を頭の中でイメージする訓練をしたところ、健康的な生活を送るようになり、貯蓄額も増えるという結果が出ました。
このように、将来の自分の老いた姿を見ることによって、未来の自分が他人ごとではなく、もっと近い存在に感じられるようになるのです。
とはいえ、自分の老いた写真をみるだけで、必ずしも将来のための行動が取れるようになるとは限りません。
実際に、一時期SNSでは、顔写真を変換するアプリで、自分の顔を老いさせることが流行りましたが、それによって、みんなの貯蓄額が増えたり、運動量が増えたなんてことはないと思います。
将来のための行動を取れるようにしたいなら、すぐにその行動が取れるように、状況を整えておくことも大切です。
ダイエットをしたいのであれば、運動着やシューズをすぐに取れる場所に置いておく、資格を取りたいなら、参考書を常にすぐ取れる位置に置いておくなどができると思います。
人は、基本的にめんどくさがりな性格なので、その行動までのステップが多いと、やらなくなってしまうのです。
だからこそ、すぐに行動が取れる状況を整えた上で、自分の老いた写真を見て、未来と現在の自分のギャップを埋めてあげることが大切なのです。
本書では、未来と現在の自分のギャップを埋める方法がまだまだ紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください!
本書では、この記事では紹介しきれていない、なりたい自分になるための方法がまだまだ書かれています。
そのため、今先延ばしをしてしまうことや、ダイエットや勉強が続かないといったことで悩んでいる方は、ぜひ本書を読んでみてください!
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ではでは。