今回は、山本渉さん著の『任せるコツ』を紹介していきます。
皆さんは、「リーダーになったけど部下に仕事を任せることができない」「仕事を任せることができず、自分で抱え込んでしまう」という悩みはないでしょうか?
自分でやった方が早いと感じることもあるかもしれませんが、それでは部下は成長しませんし、自分一人でこなすのにも限界があります。
そこで、部下に丸投げすることが大切なのです。
丸投げというと悪い印象があるかもしれません。
しかし、相手のことを考えた正しい丸投げは、個人の成長を促し、組織全体の幸せにつながるのです。
そこで本書では、年間100件、100億円以上のプロジェクトをまとめるマーケティング業界の敏腕マネージャーである著者によって、任せ方のコツについて書かれています。
この記事では、その本書の中から、正しく丸投げをする上で一番大切なポイントと、頼み方のコツを紹介していきます。
任せるコツの要約
誰に頼むかで全てが決まる!
任せるときのカギになるのは、誰に頼むかです。
任せる人によって、いい結果が出せるかどうかが決まります。
このように聞くと、もしかしたら「優秀な人に任せればいいんじゃないか?」と思われるかもしれません。
しかし、単に優秀な人に任せればいいわけではありません。
いくら優秀だからといって、スティーブジョブズやイーロンマスクのような人が、営業のアシスタントの仕事をしてくださいといっても、精力的に働いてくれないと思います。
そこで、任せる人を選ぶときに大切なのが、適正と意欲です。
この2つが、丸投げを成功させるポイントになります。
まず、意欲についてですが、意欲は人それぞれ色んな種類があります。
出世意欲がある人もいれば、出世よりも人の役に立ちたいという意欲を持っている人もいます。
そのため、まずは様々な意欲があることを理解することが大切です。
続いて、適正についてです。
人は誰しもが得意・不得意があります。
独創的なアイデアを思いつくのは得意だけど、細々とした事務的な作業が苦手な人もいれば、それと真逆の人もいます。
それなのにもかかわらず、アイデアを思いつくのが苦手な人に、クリエイティブな仕事ばかりを任せても、上手く成果を挙げることができません。
適材適所という言葉がある通り、その人の適正にあった仕事をアサインしてあげることが大切なのです。
そして、仕事を丸投げする際は、この適正と意欲がマッチングした仕事をアサインしていくことが大切です。
そのためには、メンバーの適正と意欲を把握する必要があります。
メンバーの適正と意欲が分からなければ、その人に合わせて仕事を丸投げすることができません。
そこで続いては、適正と意欲を知るための方法を紹介していきます!
適正と意欲を知る方法
メンバーの適正と意欲を知るためには、その人を知る必要があります。
では、人を知るためにはどうすれば良いのか?
本書では、とにかく聞いて、聞いて、聞くことがが大切であると書かれています。
最近では、傾聴力が大切だと言われることが多くなってきましたが、コミュニケーションにおいて最も大切なのが相手の話を聞くことです。
いくら、あなたが話しまくったところで、相手は自分の話を共有してくれません。
もちろん、普段の業務の中で会話をすることも大切ですが、その人を知るのに、特に効果的なのが1対1の面談です。
実際に、皆さんの職場でも毎月1回くらいの頻度で、上司と部下の面談を設定しているというところがあると思います。
そして、この面談で一番大事なのが、重要度が高くて緊急度が低い話をすることです。
1時間後の会議の相談など、重要度が高く緊急度も高い話は、面談を待たずに普段の業務のなかで行うべきです。
また、経費精算など、重要度が低く緊急度が高い話も、面談の時に話す必要はなく、普段の業務の中で話すべきです。
そこで面談では、重要度は高くても緊急度が低い話である相談を生み出すことが大切です。
この先どうしたいのか?3年後はどうなっていたいのか?といった話題から、現在の仕事での悩みなどを聞き出していきましょう。
とはいえ、いきなりそういった話題を引き出すのは難しいです。
よっぽどの信頼関係があれば、できなくもないと思いますが、上司やマネージャーとの面談で、いきなりそういった個人的な部分を話せる人は少ないと思います。
そこで、まずは重要度も緊急度も低い雑談と冗談から話しを始めていきましょう!
最近面白いことはあったかや、最近仕事で変わったことがあったかなど、気軽に話せる話題から始めていきましょう。
そこから、重要度は高いが緊急度の低い話に移ることで、相手の悩みや相談を引き出すことができます。
また、面談は継続性が大切です。
一回の面談だけでは、その人のことを知ることはできません。
本書では、少なくても月に1回30分でもいいから続けることがオススメされています。
そして、面談を重ねて、その人を知ることができれば、その後の仕事もやりやすくなり、仕事もその人に適したものをアサインするからことができるようになります。
その結果、効果的な丸投げができるようになるのです。
ここまで、効果的な丸投げをする上で、一番大切なポイントについて紹介してきました。
これまでのポイントを抑えることも大切ですが、実際に丸投げをする際の頼み方も大切です。
いくらその人の適性や意欲にあった仕事がアサインできるからといって、頼み方が威圧的であったり、雑だと、相手は快く引き受けてくれません。
また、その仕事に対するモチベーションも上がらず、良い結果を生み出すことができません。
そのため最後に、実際に仕事を頼む際に使える、頼み方のコツを紹介してきます。
頼み方のコツ
本書では、頼み方のポイントとして次の5つを挙げています。
①意欲の創出
②目的の明確化
③充足欲求
④選択肢の提示
⑤負担の配慮
それぞれのポイントについて紹介していきます。
まず一つ目が意欲創出です。
仕事を頼む際には、仕事を受ける側はすべての仕事を面倒と思っているという前提を持つことが大切です。
その前提をもとに、やってみようと思う意欲を依頼側が作りだすことが大切です。
そこで大切なポイントが、感謝される、褒められる、自分しかできない特別感の3つです。
この3つのポイントを抑えることで、相手の意欲を引き出すことができます。
続いて2つのポイントが、目的の明確化です。
その仕事が何のためのものなのかをはっきりさせて、伝えることが大切です。
依頼の受けても、何のためにその仕事をやっているのかわからなければ、やる気になることができません。
単にデータを集めておいてと頼むよりも、このプロジェクトを成功させるためには、こういったデータが必要だから、集めて欲しいと、目的をはっきりと伝えた上で依頼をしましょう。
そうすることで、依頼の受け手も、単なる作業ではなく、目的を持った仕事をすることができるようになります。
続いて3つ目のポイントが充足欲求です。
依頼をする際に、相手の意向に沿った文脈に変換し、メリットを提示することによって、相手のやる気を引き出すことができます。
「この前、自分がリーダーになって仕事を進められるようになりたいっていっていたから、このプロジェクトを任せても良いかな?」
「昇進したいって言ってたから、次のステージに行くために、新人の教育をやってみないか?」
のように、相手にメリットがあるように言い換えてみましょう。
最後のポイントが選択肢の提示と負担の配慮です。
部下は上司から頼まれてしまったら、今持っている仕事だけでいっぱいいっぱいだったとしても、断れないものです。
そのため、「たくさん仕事を持ってもらっているけど出来そうですか?」「難しいようであれば、遠慮なく言ってください」のように、相手に断る余白を用意してあげましょう。
そうすることによって、過度に仕事を与えてしまい、受け手の健康状態を悪くしてしまったり、嫌になって仕事を辞めてしまうということを防ぐことができます。
もしかしたら、断る余白を用意していたら、仕事なんて進まないよ思われるかもしれません。
しかし、いやいや引き受けた仕事や、スケジュール的に無理がある中でやる仕事は、どれも高いパフォーマンスを発揮することができず、良い結果を生み出すことができません。
そのため、相手の負担を考えて、断る余白を用意することが、依頼をする際に大切なのです。
この記事では、本書の中から丸投げをする際に一番大切なポイントと、頼み方のコツを紹介してきました。
本書では、この記事で紹介したこと以外にも、どうしても仕事を任せられない方への対処法や、Z世代の育成法など、人の上に立つ人が知っておくべきポイントがたくさん紹介されています。
そのため、これから新しくリーダーになるという方や、すでにリーダー職についていて、今のチームをよりよくしたいという方は、ぜひ本書を読んでみてください!
ではでは。